2012年02月29日

過敏性腸症候群 その6

◆過敏性腸症候群の治療薬 その2

◎腸の運動を調整する薬
・ラモセトロン

腸の運動を亢進(こうしん)させる神経伝達物質の働きを阻害することで、腸管の知覚の過敏性を抑えるとされる、新しいタイプの過敏性腸症候群治療薬です。

下痢や腹痛、腹部不快感を改善するとされ、男性の下痢型過敏性腸症候群に用いられます。


・トリメブチン

胃と腸の両方の運動を抑制するとされ、下痢型の過敏性腸症候群や、腸がけいれんして下痢になったり便秘になったりするときにも使われます。


・副交感神経遮断薬(抗コリン薬)

腸管の運動やけいれんを抑える作用があるとされる薬で、チキジウムやメペンゾラート、それにその配合剤などがあります。






2012年02月27日

過敏性腸症候群 その5

◆過敏性腸症候群の治療薬 その1

◎便の状態を調節する薬
・ポリカルボフィルカルシウム

過敏性腸症候群治療薬として登場した比較的新しい薬です。「高分子重合体」といわれる物質で、腸内の水分を吸収して膨らむことで、便の性状をを整える効果があります。便秘の時にも下痢の時にも用いられます。

そのほか、便秘に対しては、腸の壁から腸内に水分を移行させて便を柔らかくする「塩類下剤」の酸化マグネシウムなどが用いられることもあります。







2012年02月25日

過敏性腸症候群 その4

Q.市販薬を自己流で使い続けている人も多いと思いますが、どのように治療していけばいいのでしょうか?

便秘だから下剤を、下痢が起きたから下痢止めの薬を飲むというのでは、一時的には効いても、根本的な部分はよくなりません。

過敏性腸症候群の便秘や下痢は、『今のあなたの暮らし方は適切ではないですよ』『無理が掛かりすぎていますよ』と教えてくれている体の声なのです。

耳を傾けて、その根本にある問題に目を向ける必要があるでしょう。

ただ、解決法を見つけてその効果が現れるまでには、大抵少し時間が掛かります。それまでの間、症状が強いときは、薬を使って生活の支障を取り除きます。







2012年02月23日

過敏性腸症候群 その3

Q.なぜうまくコントロールできなくなるのでしょうか?

きっかけはいろいろあるでしょうが、日頃の生活習慣がその素地をつくっていると言えるのではないでしょうか。

まず、睡眠がきちんととれていない人が多いように感じます。眠る時間が短かったり、睡眠時間は十分でも眠りが浅かったり。

人間の体内時計は、本来、夜になればリラックスして眠り、朝になったら活動するように設定されているものです。

それなのに、現代社会では夜遅くまで活動していて、体のリズムに合う生活ができていない人が増えています。

元来、腸は、昼間活動しているときにはあまり動かず、夜寝ているときに、腸のどの部分にどれくらいの内容物があるかについて、脳との間で情報をやり取りしていて、一番よい具合に内容物を運んで排泄できるように動くものです。

それが、例えば睡眠時間があまりに短いと、脳と腸のやり取りもうまくいきません。

本来のリズムを失って、腸がその内容物に見合わない動きをしている状態が、過敏性腸症候群だともいえます。

腸の反応の個人差から、下痢になったり便秘になったり、交互に現れたりしますが、根本にある問題は同じです。







2012年02月21日

過敏性腸症候群 その2

Q.腸そのものには異常がないのに、どうして便秘や下痢が起こるのでしょうか?

胃液の分泌や腸の蠕動(ぜんどう)運動などの消化管の働きは、脳からの指令でコントロールされています。ところが、ストレスなどが原因で腸の神経が過敏になると、腸の機能を脳がうまくコントロールできなくなるのです。








2012年02月19日

過敏性腸症候群 その1

◆過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群は、明らかな病変がないのに腸の調子が悪く、腹痛や腹部の不快感を伴う下痢や便秘が繰り返し起こる病気です。

過敏性腸症候群には診断基準があり、主に現れる便通異常の症状から、「下痢型」、「便秘型」、下痢と便秘が交互に現れる「混合型」などのタイプに分けられます。

下痢型は男性に、便秘型は女性に多く見られ、比較的若い世代の患者さんも多いです。発症には精神的なストレスの関わりが大きいとされ、患者数が増えているといわれています。

治療では、排便習慣や生活のリズムなどを整え、食事や運動など生活習慣の問題を修正することが基本になります。

便通異常が強いときには、便の状態を調整する薬や腸管の運動(動き)を調整する薬、下剤などを必要に応じて用い、便通の状態を整えます。

不安や抑うつが強い場合には、抗不安薬や抗うつ薬が併用されることもあります。



◎過敏性腸症候群の診断基準

最近3ヶ月間のうち、1ヶ月に3日以上にわたって、腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上があります。

1)排便によって軽減する
2)発症時に排便頻度の変化がある
3)発症時に便の形状(外観)の変化がある

上記のような便通異常があり、その原因となるような明らかな病気がない場合に、過敏性腸症候群と診断されます。







2012年02月17日

正しく知ろう放射線とがん おわり

線量とがんのリスク おわり

何となく放射線を質的に恐れるのではなく、線量などの情報を見守り、その線量によるがんのリスクの大きさをきちんと定量的に理解することが重要です。

また、放射線以外にも、生活習慣などによって、がんになるリスクがどの程度高まるのかも理解し、自分で管理できるリスクを減らしましょう。







2012年02月15日

正しく知ろう放射線とがん その9

線量とがんのリスク その6

がんになるリスクは、「喫煙」「大量飲酒」「やせ・肥満」「運動不足」「高塩分食品」「野菜不足」「受動喫煙」などによって高まることがわかっています。

例えば、喫煙者や週450g以上の大量飲酒をする人では、そうでない人よりがんになるリスクが1.6倍に高まります。

週450g以上の飲酒とは、ビールなら大瓶3本、日本酒なら3合を毎日飲んだときのアルコール量です。

1.6倍というリスクは、1回だけの急性被爆による線量が、500〜1000mSvの場合を上回っています。(正しく知ろう放射線とがん その4 を参照)

受ける線量をゼロに近づけようとして、例えば野菜の摂取不足になったり、家に閉じこもって運動不足になったりすることが長期間に及ぶと、かえってがんになるリスクを高めることも考えられます。





2012年02月13日

正しく知ろう放射線とがん その8

線量とがんのリスク その5

◆影響を受けやすい人

年齢が若い方が、放射線の影響が大きく出やすいと言えます。特に胎児への影響が大きいことが知られており、妊婦や小さな子供は注意が必要です。

チェルノブイリ原子力発電所の事故では、放射性物質が多く含まれた牛乳を飲むことで、放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれ、子供たちの甲状腺がんのリスクが高まったことが確認されています。

日本では、基準値を超えて汚染された食品が流通しないように規制されている為、チェルノブイリの事故とは状況が違うと言えます。






2012年02月11日

正しく知ろう放射線とがん その7

線量とがんのリスク その4

◆内部被爆の場合

内部被爆によるがんのリスクは、放射性物質をどれだけ体内に取り込んだかがわかりにくいため、詳しいことはわかっていません。

国連科学委員会の最近の報告書では、海外の原子力施設の事故での内部被曝によるリスクの推定値は、広島・長崎の原爆被害者のデータと大きくは変わらないだろうと記されています。

内部被爆については、今後さらに研究が必要であると言えます。