2011年05月31日

EPA製剤とはどんな薬? その2

臨床試験でわかった、脂質異常症の合併症を予防する効果とは? 1回目

Q:
もともと日本では欧米に比べて冠動脈疾患の発生率が低いのですが、血清コレステロール値の違いばかりでなく、魚の摂取量が多いことがその一因といわれています。

その日本で、EPAを薬として使うことで、どれだけの効果がみられたのでしょうか?

A:
JELISでは、総コレステロール値250mg/dl以上の人を対象に、スタチン(HMG・CoA還元酵素阻害薬)との併用によるEPA製剤の有効性が検討されました。

高コレステロール血症に対する有効性が確認されているスタチンを服用する人と、スタチンに加えてEPA製剤も服用する人とを比べて、冠動脈疾患や脳卒中の予防効果を調べたのです。

5年近い追跡調査の結果、EPA製剤を併用した人全体では、心筋梗塞などの重い冠動脈疾患の発症リスクが19%も低下しました。これは、脂質の値の改善だけでは説明がつかず、EPAによる動脈硬化の抑制効果によると考えられています。






2011年05月29日

EPA製剤とはどんな薬? その1

薬としてのEPAの作用と効果は?

Q:
EPA製剤には、「血小板の作用を抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ」「血清脂質の値を改善する」「血管壁の弾力性を保持する」などの作用があるとされています。処方薬としては閉塞性動脈硬化症や脂質異常症の薬として承認されています。

閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化のために動脈が狭窄または閉塞して慢性の血行障害を来すもので、特に脚に起こりやすくなっています。

EPA製剤の効果はどうなのでしょう?

A:
閉塞性動脈硬化症では、血行障害のために冷感やしびれ感、疼痛、潰瘍などの症状が現れることがありますが、EPA製剤はそうした症状の改善に有効です。

血管が閉塞してしまった場合には、血行を回復させるバイパス手術やカテーテル治療などを併用させて行なうこともあります。


Q:
脂質異常症についてはどうなのでしょうか?

A:
主に中性脂肪値を下げる薬だとされていますが、それだけならフィブラート系薬など、もっと強力に効く薬があります。脂質異常症の薬としてのEPA製剤の利点は、副作用が少ないということでしょう。


ただし、現在、EPA製剤に期待されている効果は、この2つの病名の範囲にとどまらないそうです。

閉塞性動脈硬化症に対しても、脂質異常症に対しても、EPA製剤は第一選択の薬とはいえません。

しかし、こうした人に多い冠動脈疾患や脳卒中などの重大な合併症を防ぐ効果がJELISで確かめられたこともあり、単に症状をとったり、血清脂質の値を下げたりする以上の働きをする薬と考えられるようになっています。







2011年05月27日

EPA製剤とは

EPAは魚の油に多く含まれる脂肪酸(脂肪を構成する成分)で、動脈硬化の予防に重要とされる「n−3(ω3)系多価不飽和脂肪酸」の1つです。1970年代に魚やアザラシの肉を常食するイヌイットに心筋梗塞などが少ないことから注目され始めました。

日本では、20年前から高純度のEPA製剤(一般名:イコサペント酸エチル)が、医師の処方による医薬品として用いられています。

初めは閉塞性動脈硬化症に伴う症状を改善する薬として登場し、その後、脂質異常症(高血圧)の治療にも用いられるようになりました。

脂質異常症の薬としては、主に中性脂肪値が高いタイプに用いられてきました。しかし、近年、日本で行なわれた大規模臨床試験(JELIS(*))の結果がまとめられて、コレステロール値が高い人で冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)や脳卒中の発症を抑える効果が確かめられ、改めてその多面的な作用が注目されています。


(*):Japan EPA Lipid Intervention Study(高脂血症に対するEPAの一次、二次予防大規模試験)






2011年05月25日

HIVの治療 終わり

◆治療の継続と生活

現在の治療では、HIVを完全に排除することはできません。しかし、検査で検出できないほど(検出限界以下)にHIVが減少した状態を維持すれば、エイズの発症を抑えることができます。

しっかりと治療を続けて、感染していない人と同様の社会生活を送りましょう。

大切なのは、不用意な性行為で人に感染させないことです。HIVを検出限界以下に抑えると同時に、性行為の際に確実にコンドームを使うことで、相手への感染をほぼゼロに抑えることが可能です。

また、抗HIV薬は高価ですが、自立支援制度など、医療費を軽減する制度があります。患者さんの収入にもよりますが、月ごとの自己負担額は、最高でも2万円程度になります。

詳しいことは医療機関の相談室などに相談してください。





2011年05月23日

HIVの治療 その2

◆副作用

抗HIV薬では、次のような副作用が起こることがあります。


◎服用後すぐに現れるもの

「むかつき」「下痢」などの消化器症状があります。以前の薬では強く起こることが多かったのですが、最近の薬ではかなり軽減されています。


◎長期使用で起こるもの

長く使い続けると、血液中の脂質が多くなりすぎる「高脂血症(脂質異常症)」などが起こりやすくなります。

高脂血症が起きた場合には、脂質を減らす薬を併用することなどで対応します。





2011年05月21日

HIVの治療 その1

複数の抗HIV薬を組み合わせて治療する

◆多剤併用療法

健康な人では、血液1μl(マイクロリットル)中に免疫細胞(CD4陽性細胞)が、約1000個あります。

HIVに感染していることがわかった場合には、定期的にCD4陽性細胞の数を調べ、350個未満になったところで治療を開始します。

治療には、HIVの増殖を抑える「抗HIV薬」が使われます。抗HIV薬は、HIVの増殖過程のどの段階で働くかによって4つのタイプに分けられます。

治療は、それらの働きの異なる抗HIV薬を複数組み合わせて行なわれます。これを「多剤併用療法」といい、「HAART(ハート)療法」(*1)と呼ばれることもあります。

以前の多剤併用療法では、20錠近い抗HIV薬を1日3回以上に分けて服用していました。

最近では、合剤が使われるようになり、薬の組み合わせによっては1日1回2錠の服用で済むようになっています。

今後さらに合剤化が進み、近い将来、3種類の合剤が開発されるものと思われます。そうなると、1日1回1錠を服用すればよい場合も出てきて、薬はより服用しやすくなるといえます。


(*1):「Highiy Active Anti-Retroviral Therapy」の略。






2011年05月19日

エイズとは  終わり

◆HIV検査

次のような人は、感染の可能性があるので必ず検査を受けましょう。

☆コンドームを使わず不特定多数の相手と性行為をした
☆パートナーがHIV感染者
☆麻薬や覚醒剤の注射による使用


HIV検査は、保健所などで受けることができます。受ける時期は、感染が疑われる機会から、1〜3か月以降です。

HIV検査では、HIVの一部や、HIVを排除する為に体内でつくられる抗体の有無を調べます。検査には、次の2段階があり、採血の日から約2週間後に結果が出ます。


◎スクリーニング検査

「感染していない」ことを調べるのが検査の目的です。検査は採血して行なわれ、検査結果は、「陰性」または「陰性ではない」と出ます。

「陰性」の場合は、感染していないことがわかります。

「陰性ではない」という結果が出ても、感染していると確定したわけではなく、続いて確認検査が行なわれます。


◎確認検査

「感染している」ことを調べるのが目的の検査です。結果が「陽性」なら感染している、「陰性」なら感染していないと判断されます。


最近、施設によっては、スクリーニング検査の結果が短時間でわかる「即日検査」も行なわれています。この場合、結果が「陰性」であれば、その日に検査は終了し、「陰性ではない」ときは、確認検査が行なわれ、後日の判定となります。



※補足

・HIV検査を受ける時期について

保健所では、感染が疑われる機会の3か月以降に検査を受けることを勧めています。最近では、施設によってそれより早い時期に調べられることもあるので、まずは保健所などに相談しましょう。


・HIV検査ができる施設

■保健所、自治体が設けた検査相談所

 匿名、無料で検査できます。

■医療機関

5,000円程度の自己負担が必要となります。

下記「HIV検査・相談マップ」のホームページで、検査を受けられる施設を検索することができます。

「HIV検査・相談マップ」へのリンク

日時や予約については事前に問い合わせが必要です。






2011年05月17日

エイズとは  その2

◆普通の生活を送る為に

無症状の時期でも、HIV検査を受ければHIVに感染したかどうかがわかります。早めの検査で感染を見つけて、エイズ発症前に治療を開始することが大切です。

定期的な通院と毎日の服薬を継続することで、何十年も普通の生活を送ることができます。

デンマークの研究では、25歳でHIV感染がわかった人がエイズ発症前に治療を受けた場合、その後40年間、65歳ごろまで生きることができると報告されています。同国の一般の平均寿命は75歳で、その差は約10年に縮まっています。

一方、HIVに感染した後、放置すると、必ずエイズを発症します。発症した後の経過は、患者さんによって異なります。

合併した病気によっては治療が可能なこともありますが、治療が困難で普通の生活を送ることができなくなることも少なくありません。

「HIV感染者・エイズ患者報告数」の年次推移では、エイズ患者の報告に比べ、HIV感染者の報告数が増えています。(下記リンク参照)

HIV感染者・エイズ患者報告数

これは、早めの検査で発症前に感染が明らかになる人が増えたためと考えられます。しかしながら、報告数のうち約30%は、発症して初めて感染に気づいたエイズ患者です。

より多くの人が検査を受けて、発症前に感染を知ることができるように、誰もがHIV検査について知り、身近な人にも検査の大切さをを伝えることが求められています。





2011年05月15日

エイズとは  その1

症状のない時期に免疫細胞の破壊が進む

「エイズ」(*1)とは、「HIV」(*2)と呼ばれるウイルスに感染して起こる病気です。主な感染経路(*3)は、「性行為」「注射針の共用」などです。

HIVに感染すると、一時的に「発熱」など、風邪のような症状が起こることがあります。しかし、この時期に感染に気づくことはほとんどなく、その後、次のような経過をたどります。


・無症状の時期(無症候期)

症状はなくても、体内でHIVが増殖し、それに伴い徐々に免疫細胞が破壊されていきます。従来、この期間は、数年から10年ぐらいといわれていましたが、最近は、3〜4年に短縮しているという報告があります。


・エイズの発症

免疫細胞の破壊が進み、免疫力が一定のレベル以下に低下すると、健康な人なら起こすことのない、様々な感染症や悪性の病気(*4)が起こります。この状態をエイズといいます。



(*1)・・・後天性免疫不全症候群。英語の「Acquired Immunodeficiency Syndrome」を略して「AIDS」といいます。

(*2)・・・ヒト免疫不全ウイルス。英語の「Human Immunodeficiency Virus」の略

(*3)・・・ほかに「母子感染」がありますが、予防が可能です。また、日常生活で感染することはありません。

(*4)・・・「カンジダ症」「ニューモシスチス肺炎」などの感染症や、「悪性リンパ腫」などの悪性腫瘍などが合併します。





2011年05月13日

不妊治療を進めるときは

女性にも負担がかかることを理解し、2人でよく相談して決める

不妊症の原因が男性にあったとしても、体外受精などの不妊治療による身体的負担や精神的負担は、女性のほうが大きくなります。

男性はそのことをよく理解して、相手をいたわることが大切です。

一方女性も、原因が男性にあるとわかった場合は、過度のプレッシャーをかけないよう配慮しましょう。

不妊治療は、どちらか一方が頑張りすぎたり、相手に任せきりになってしまうと、2人の距離が離れてしまい、治療がうまくいきません。

2人で一緒に考えて、相談しながら治療を進めていくことが大切です。




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