2011年03月31日

漢方薬による更年期障害の治療

「三大漢方婦人薬」が用いられることが多い

漢方薬は、自然の植物、動物や鉱物からとった生薬を、さまざまに組み合わせたものです。

現在は、服用が簡単な「エキス顆粒」として処方されることが多く、ほとんどの薬局で扱われています。2010年9月現在、更年期障害とそれに関連した疾患に対する漢方薬については、30種類以上に健康保険が適用されています。

服用の際の体調によっては、「吐き気」や「胃の不快感」などの副作用が現れることもありますが、その頻度は極めて低く、漢方薬は安全性がかなり高いといえます。

漢方薬の特徴としては、心身のバランスを整えるものであること、“心身一如”といって心と体を切り離さず1つのものとして考えること、長い歴史の中で淘汰されてきた為副作用が少ないこと、1つの薬に様々な効果があることなどがあげられます。そして、これらの特徴は、更年期障害の治療にたいへん向いているといえます。

ホルモン補充流法と比べると、効果が現れるのはやや遅く、ホルモン補充療法が2〜4週間位で効果が現れることが多いのに対し、漢方薬による治療は4〜8週間程度かかるようです。


◆よく用いられる薬

漢方薬には多くの種類がありますが、更年期障害に対してよく用いられるのは、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」です。これらは、「三大漢方婦人薬」と呼ばれます。

どの症状に効果があるかは薬によって異なる為、通常、患者さんの症状に合わせて、まずはどれか1つの漢方薬が選択されます。

この時、最初に処方されることが多いのは、更年期障害に対して総合的に効果の高い、加味逍遙散です。

しばらく服用して、効果が出にくいようなら、別の漢方薬に変更したり、別の漢方薬を追加することもあります。


◆ホルモン補充療法との併用も可能

まずは、医師とよく相談して、ホルモン補充療法か漢方薬による治療か、どちらかを試してみるとよいでしょう。

また、ホルモン補充療法と漢方薬による治療は、併用することもできます。






2011年03月29日

更年期障害の治療

西洋医学では主にホルモン補充療法が行なわれる


更年期障害の治療では、薬を使った治療法が3つあります。

1つは、減少したエストロゲンを薬で補う「ホルモン補充療法」です。もう1つは、「漢方薬」を用いた治療法です。そして、心の症状に対処する「向精神薬」を使う方法もあります。

薬物療法とは別に、「カウンセリング」や「心理療法」などが行なわれることもあります。

なかでも効果が高いとされている治療法が、ホルモン補充療法です。減少したエストロゲンを補充することで症状を抑えるのは、たいへん理にかなっています。欧米ではごく一般的な治療法です。

ただ、ホルモン補充療法を行なうと、「不正出血」が起こる可能性や、5年以上の長期使用をした場合に「乳がん」のリスクが多少高まる可能性があります。

また、乳がんの治療後の患者さんはホルモン補充療法を受けることはできません。

そこで日本では、乳がんを治療中の人や乳がんの経験のある人、乳がんが起こるのを心配する人などには、ホルモン補充療法以外の治療、特に漢方薬が勧められます。







2011年03月27日

更年期障害の原因

体の変化に加えて周囲の環境や性格も影響する

更年期障害の原因の1つに、「生物学的要因」として、加齢と閉経に伴い、卵巣から分泌される女性ホルモンである「エストロゲン」の量が、急激に減少することがあります。

エストロゲンは、「エストロゲン受容体」を介して、体内でさまざまな働きをしています。この受容体は、乳腺や子宮などの女性特有の器官だけでなく、脳、肝臓、腎臓、肺、胃、腸など、ほぼ全身にあります。そのため、エストロゲンの分泌量の減少は、全身に影響を与えます。

他方、原因はこうした生物学的要因だけではありません。

更年期には、子供の巣立ち、夫あるいは自分の転勤や定年、親や夫との離別、将来への不安などが起こりがちです。こうした「社会的・環境的要因」も大きな原因になります。

また、もともと物事をまじめにとらえがちな性格であるといった「心理的・性格的要因」も更年期障害に影響します。






2011年03月25日

更年期障害とは

閉経の前後5年間に心と体に症状が現れる

多くの女性は、50歳前後で閉経を迎えます。閉経の前後5年間を「更年期」といい、この時期には女性ホルモンの分泌量の減少などが原因となって、更年期障害と呼ばれるいろいろな変調が心身に現れます。

主な心の症状には、「気分の落ち込み」「眠れない」「不安になる」「興奮しやすい」などがあげられます。体の症状には「ほてり「発汗」「手足の冷え」「動悸」「肩こり」などがあります。

症状は人によって様々です。また、複数の症状が重なっていることも少なくありません。

症状がつらくても、人に話すことができなかったり、家族の理解が得られなかったりするために、1人で悩んでいる人が多いのも、更年期障害の特徴です。

症状をつらく感じるようなら、一度、更年期外来や婦人科を受診することをお勧めします。

更年期障害の治療法として、日本で以前から行なわれてきたものの1つに、漢方薬を使った治療法があります。

近年では、漢方薬は更年期障害に対してかなりの効果があると言うことが、科学的に評価されるようになってきており、多くの更年期外来や婦人科で漢方薬が処方されています。







2011年03月23日

誤嚥性肺炎に注意

飲食物や唾液が誤って気管に入り(誤嚥:ごえん)、それに混じって細菌などが肺に入って肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすことがあります。

加齢の影響や脳梗塞の後遺症があると、誤嚥を起こしやすいので注意が必要です。

食事のときにむせたりすると誤嚥を起こしやすいので、食事中は体を起こし、ゆっくり少しずつ食べるようにしましょう。

また、うがいや歯磨きなどによって口の中の清潔を保ち、細菌などを増やさないことが大切です。






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2011年03月21日

肺炎の予防対策 終わり

◆ワクチン接種

一般に勧められるのは、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの2つです。

肺炎の原因となる病原体の中で、最も多いのが肺炎球菌です。肺炎球菌ワクチンは、肺炎の発症を完全に防ぐものではありませんが、肺炎球菌が原因の場合に肺炎の重症化を防いだり、死亡率を低下させることが分かっています。

このワクチンの接種が勧められるのは、65歳以上の人、および65歳未満の人のうち「肺・心臓・肝臓・腎臓・の持病のある人」「糖尿病、膠原病、がんのある人」「以前に脾臓を摘出する手術を受けた人」などです。

肺炎球菌ワクチンは、1回の接種で約5年間有効とされます。2009年10月より、日本でも再接種が認められるようになりましたので、接種時期についてはかかりつけ医と相談してください。

肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンのうち、1つだけ接種するよりも、両方のワクチンの接種を受けたほうが肺炎による死亡率は下がることが分かっています。

インフルエンザワクチンの接種が勧められる人は、65歳以上の人、65歳未満でも「肺・心臓・肝臓・腎臓・の持病のある人」「糖尿病、膠原病、がんのある人」などです。

インフルエンザワクチンは、1年間有効とされます。毎年、そのシーズンに流行が予測されるインフルエンザの型に対応したワクチンが用意されます。流行期の前に接種するとよいでしょう。

なお、どちらのワクチンも原則的に健康保険は適用されません。肺炎球菌ワクチンは、脾臓を摘出した人のみ健康保険の適用になります。

公費助成が行なわれている自治体もあるので、地域の保健所や健康・保険の担当部署に問い合わせてください。


◆持病の治療

基礎疾患があったり、ステロイド薬、免疫抑制薬による治療を受けている人は肺炎を起こしたり、肺炎が重症化しやすいので、日頃からきちんと治療を受け、体調に注意してください。

また、高齢者が風邪やインフルエンザをこじらせると、肺炎を発症しやすい為、しっかり治療をすることが大切です。長引いたり、症状が悪化したときは早めに受診し、完治させてください。





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2011年03月19日

肺炎の予防対策 その2

◆体力の維持

感染症予防には、健康的な生活を送り、体力を維持することが大切です。


・十分な睡眠と栄養
十分な睡眠や、規則的でバランスの取れた食事を心がけます。食事は、炭水化物、たんぱく質、脂肪などをバランスよく取り、野菜などの不足もないようにしましょう。

高齢になると、食が細くなりがちですが、毎日3食をきちんと取るように心がけ、あまり食欲が無いときも、おかゆ、卵、白身魚、ヨーグルトなど、食べやすい食品を活用するとよいでしょう。

・過労、不規則な生活を避ける
仕事や活動などの疲れは、翌日まで持ち越さないようにしましょう。また、作業の合間にはこまめに休憩をとって疲れがたまらないようにしたり、不規則な生活を避け、過労に陥らないように注意しましょう。


◆口の中を清潔に

肺炎を起こす病原体は、普段は口の中にいることが多いので、うがいや歯磨きによって、なるべくその量を減らし、口の中を清潔にしましょう。

歯ブラシは、ペンを持つように持ち、歯と歯茎の境目に直角に当て、力を入れずにやさしく小刻みに磨きます。食後は、歯ブラシで磨くほか、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って、歯と歯の間もきれいにしてください。

また、虫歯や歯周病があると、口の中で細菌が繁殖しやすい為、これらがある場合は、歯科できちんと治療を受けましょう。


◆禁煙

喫煙していると、肺がもっている免疫の働きが損なわれ、肺炎が起こりやすくなるため、禁煙も必要です。





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2011年03月17日

肺炎の予防対策 その1

風邪をひかない、こじらせない。睡眠や栄養に注意して体力維持を

高齢者の肺炎を予防する為には、次のようなことに気をつけましょう。


◆風邪をひかない

風邪など、肺炎の誘因になるような感染症予防に努め、かかったときにはこじらせないようにします。予防のポイントは次の通りです。


・人ごみを避ける
風邪が流行する冬季には、なるべく人ごみに行かないようにします。外出時は人ごみや電車、バス内などではマスクを使用してもよいでしょう。

・こまめな手洗い、うがい
手洗いやうがいをしっかり行ないましょう。特に冬季は、手洗いやうがいは、帰宅時のほか、外出先でも休憩時や食事前などに行なうようにします。

手洗いは、石鹸で泡立て、指先から手首まで丁寧に洗います。うがいは。のどの奥まで“ガラガラ”と3〜4回繰り返します。水でかまいません。

・保温、保湿、換気
風邪のウイルスは、低温、乾燥を好みます。また、体冷えると抵抗力が低下するので、冬季は暖房器具を活用して、室内を20℃くらいに保ちます。

加湿器を利用したり、ぬらしたタオルを室内に干したりして、湿度は40%以上に保つようにしましょう。さらに、窓を閉めきった室内では、ウイルスや細菌が繁殖しやすいので、定期的に窓を開けて換気を行なってください。




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2011年03月15日

高齢者と肺炎

高齢者ほど感染に注意が必要

◆高齢者は要注意

一般に、高齢になるほど体力や免疫の働きが低下してくる為、「肺炎」を起こしやすく、起こしたときに重症化しやすいという傾向があります。

また、高齢になるほど、色々な持病をもつ人も多くなり、それも高齢者の肺炎が重症化しやすい要因の一つになっています。

高齢者では、肺炎が重症化して、命にかかわるケースも少なくありません。肺炎による死亡率を年代別に見ると、70歳代ごろから上がり始め、年代が上がるほど高くなっていきます。

特に70歳代以上の人は、肺炎で危険な状態になるおそれがあることを自覚し、予防に努めましょう。




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2011年03月13日

肺炎の入院治療

酸素欠乏や脱水症状が起きたら入院治療を行なう

◆入院が必要な場合

重症の肺炎では、呼吸困難が起こって肺への酸素の取り込みが悪くなり、全身に「酸素欠乏症」の症状が出てきます。

さらに、肺の炎症が強くなると、食欲が低下したり、水分摂取量が減って脱水が強くなりがちです。すると、「意識障害」や「血圧低下」が起こることがあります。

このような症状がある場合は、入院治療が勧められます。これらは高齢者に起こりやすいので、周囲の人は特に注意して見守る必要があります。

入院治療では、抗菌薬を点滴で投与する肺炎治療だけでなく、酸素不足に対して酸素吸入を行なうなどの呼吸の管理や、栄養や水分補給を含めた全身状態の管理が行なわれます。


◆退院の目安

退院の目安は、「発熱がきちんと治まる」「高齢者は食欲がきちんと回復する」「CRP(炎症反応物質)が正常値に戻る」などです。入院して、治療をきちんと受け、これらの条件を満たす状態になれば、肺炎は完治したといえます。

入院期間は、通常10日〜2週間ですが、若い人や持病のない人の場合は、これらの条件を満たさなくても、早めに退院できることもあります。

逆に、持病が多い人などでは、通常より時間がかかる場合もあります。


◆治りにくい場合

治療を受けても肺炎が治りにくい場合があります。その理由として次のようなことが考えられます。

・体力、免疫の働きが低下している
糖尿病やがんといった病気がある人や、肺や心臓、腎臓、肝臓などに病気がある人、高齢者、または栄養状態がよくない人などは、治りにくいことがあります。

・抗菌薬が病原体に合っていない
病原体を推定して選んだ抗菌薬が有効でなかった、ということもあります。3日ほど治療しても症状が改善されない場合には、病原体を確定する検査(*)を行い、治療薬を選定し直します。

*:痰に含まれる細菌や微生物を培養して増やし、その種類や薬の効き目を調べます。


◆耐性菌

抗菌薬が効かず治りにくい場合、原因が「耐性菌」であるケースもあります。耐性菌とは、これまでの抗菌薬に耐性ができて、抗菌薬が効きにくくなった原因菌のことです。

耐性菌の割合が最も高いのは「肺炎球菌」です。成人の患者さんの場合、肺炎球菌の耐性率は2〜3割、「インフルエンザ菌」の耐性率は約2割といわれています。そのほかにも薬剤耐性をもつ細菌は増えてきており、院内感染の原因として憂慮されています。

耐性菌は「つくらない」ことが重要です。そのためには、「早い段階から効果の強い薬で治療する」「必要十分な量を、決められた期間投与する」ことが遵守されなければなりません。

耐性菌に対する治療は、5系統の抗菌薬以外の薬も検討して、きちんと効く薬を選び出して使っていきます。少し入院期間が長くなりますが、根気よく治療を続ける必要があります。

なお、肺炎が疑われる症状があったら、まずかかりつけ医を受診し、必要な場合は、かかりつけ医から専門医を紹介してもらうようにしましょう。





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