2011年02月27日

声帯ポリープの検査

喉頭内視鏡を使って声帯を観察する

受診すると、まず「問診」が行なわれます。医師は、耳から聞いた患者さんの声によって、その状態を分析します。また、職業、喫煙歴などを尋ね、日ごろどれくらい声を出しているかや、喫煙習慣などによる声帯への影響などを推測します。

声帯に障害があることが疑われる場合は、「喉頭内視鏡」を使った検査で、声帯の様子を観察します。

喉頭内視鏡を使った検査では、鼻や口から細い内視鏡を送り込み、声帯を含めた喉頭の状態を調べます。

声帯は非常に高速で動いているため、通常の光源を使った場合に、小さな病変などを観察しにくいことがあります。このような場合に、ストロボスコープで瞬間の発光を繰り返すと、高速で動いている声帯をスローモーションで動いているように見ることができます。

ストロボスコープを使った検査は、小さな病変も発見しやすい為、がんが疑わしい場合や、手術が必要かどうかなど、判断が難しい場合に役立ちます。






2011年02月25日

声帯ポリープ

◆声帯の振動によって声が出る

私たちは普段、喉頭にある「声帯」を使って声を出しています。声帯は左右で対になっていて、息を吸い込むときは逆V字形に開いて空気を通し、発声時には閉じています。

声は、肺から吐き出される息が閉じた声帯の隙間を通り抜け、声帯を振動させることによってつくられています。

声帯の振動は非常に高速で、通常の会話では、男性で1秒間に100回ぐらい、女性では1秒間に250回ぐらい振動しているといわれます。つまり声を出すことによって、声帯には日常的にかなりの負担がかかっているのです。

そこに、大きな声を出し続けたりして声帯を酷使することにより、さらに大きな負担がかかると、声帯に炎症がおこることがあります。すると、声がかすれたり、出しにくくなったりします。

声帯とは、ウクレレやギターなどの弦楽器における弦のようなものだといえます。楽器の弦に異物が触れていると、弦は振動せず楽器はうまく鳴りません。声帯も同じで、「ポリープ」などの異物が声帯に生じると、声のかすれが起きたり、声が出しにくくなったりするのです。


◆ポリープの種類

声帯の慢性的な腫脹(腫れ)を伴う炎症は、“のどのポリープ”と総称できますが、これは「声帯ポリープ」「声帯結節」「ポリープ様声帯」の3種類に分けることができます。


◎声帯ポリープ

声帯の毛細血管が内出血を起こして、こぶ状に腫れるもので、大きな声を出したときなどに、声帯に急に負担がかかって起こります。かつては男性に多いといわれていましたが、最近は男女差はあまりないとされています。


◎声帯結節

声帯の使いすぎによって、声帯の一部に“ペンだこ”のようなしこりができます。女性や学童期の子供、歌手などに多く見られます。


◎ポリープ様声帯

声帯全体がむくみ、腫れあがった状態になります。喫煙歴の長いヘビースモーカーに多く、喫煙と関係が深いといわれています。





2011年02月23日

潰瘍性大腸炎・クローン病と上手に付合うには

治療や生活習慣の改善で寛解期を長く維持する

潰瘍性大腸炎もクローン病も、長期にわたって付合っていく病気です。

食事に関しては、活動期は「成分栄養剤」を摂取し、寛解期は脂質や刺激物を控えて良質なたんぱく質を中心とした食事をとるなど、腸への負担の少ない食生活にします。また、ストレスや睡眠不足も病状を悪化させることがあるため、注意が必要です。

規則正しい生活を心がけ、医師の指示通りに薬を飲むようにしましょう。

炎症が長く続くと、特に潰瘍性大腸炎ではがんが生じるリスクが高くなります。そのため、定期的に大腸の内視鏡検査を受けることが大切です。







2011年02月21日

潰瘍性大腸炎・クローン病の治療

薬などの治療で病状を寛解期へと向かわせる

潰瘍性大腸炎もクローン病も完全に治すことは難しい為、治療は、活動期をなるべく早く寛解期に移行させ、寛解期を長く維持することを目標に行なわれます。


◆潰瘍性大腸炎の治療

まずは薬で症状を和らげます。主に「サラゾスルファピリジン」や「メサラジン」を使い、症状が強い場合は「副腎皮質ステロイド」や「免疫抑制約」なども使います。2010年6月には「抗TNF−α抗体製剤」も使えるようになりました。

副腎皮質ステロイドで効果が得られない場合は、「血球成分除去療法」が行なわれることもあります。これは、炎症にかかわる白血球の成分を血液から取り除く治療法です。

内科的治療で改善しない場合や、「出血が止まらない」「大量に出血している」「大腸の壁が破れた」「がんが発生した」などの場合には手術が検討されます。


※「抗TNF−α抗体製剤」とは

通常、体内に異物が侵入して白血球の働きが活発になると、「サイトカイン」という物質が異物を攻撃します。

クローン病などでは、サイトカインの1つである「TNF−α」が過剰に作られることが、炎症に大きくかかわっていると考えられています。

「抗TNF−α抗体療法」では、炎症による症状を改善させる目的で、TNF−αに対する抗体(抗TNF−α抗体製剤)を投与してTNF−αの働きを抑えます。


※血球成分除去療法とは

腕の静脈に「カテーテル」という細い管を挿入して血液をいったん体外に出し、医療機器で炎症にかかわる白血球の成分を除去してから、血液を体内に戻す方法です。


◆クローン病の治療

クローン病の治療も内科的治療が主体で、メサラジンや副腎皮質ステロイドによる薬物治療や、血球成分除去療法などがあります。抗TNF−α抗体療法も行なわれています。

内科的治療で改善しない場合などには手術が検討されます。最も多く行なわれるのは、腸の狭窄に対する手術で、できるだけ腸管を温存する為、狭窄部分を含めて長をなるべく小さい範囲で切除したり、広げたりする方法が取られます。

クローン病は再発する頻度が高く、手術後5年で30%程度に再手術が必要になる為、定期的に検査を受けることも重要です。






2011年02月19日

クローン病

下痢や腹痛を繰り返したり、肛門に症状が現れたりする

クローン病は、大腸や小腸などの消化器官のところどころに炎症が起こる病気です。この炎症は、腸の内壁の深い部分に達する場合もあります。

その結果、腸の一部が狭くなる「狭窄(きょうさく)」や腸に孔が開く「穿孔(せんこう)」、腸どうしがくっつく「癒着」、腸と腸や、腸と膀胱がトンネル状につながる「ろう孔」などが起こることがあります。

クローン病の患者数は全国で約3万人で、男女比はおよそ2対1です。


◆症状

血便も見られますが、典型的な症状は「繰り返す下痢と腹痛」です。体重減少や発熱、関節炎などが起こることもあります。

肛門に病変が生じることが多いのもクローン病の特徴です。肛門近くに深い潰瘍ができると、肛門が痛んだり、肛門の周りに膿がたまることがあります。





2011年02月17日

潰瘍性大腸炎

血便や粘血便、下痢や腹痛を繰り返しながら炎症が広がる

潰瘍性大腸炎とは、大腸の内壁の比較的浅い部分に炎症が起こり、潰瘍ができる病気です。
病変は直腸から起こり、連続的に広がっていくのが特徴で、場合によっては大腸全体に炎症が広がることもあります。

潰瘍性大腸炎の患者数は全国で約10万人で、男女比はおよそ1対1です。


◆症状

最初は便が緩くなり、その後は「血便」や、便に粘液や血液が混じった「粘血便」を繰り返すようになります。それに伴い、下痢や腹痛なども現れます。


病状が悪化すると、「発熱」「貧血」「体重減少」「関節炎」などの症状がおこることがあります。





2011年02月15日

潰瘍性大腸炎とクローン病

腸に繰り返し炎症が起こる、若い人に多い病気

腸に炎症が起こり、「下痢」や「腹痛」などの症状を繰り返す病気に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」があります。どちらも患者数が年々増えており、特に20〜30歳代の若い人に多く見られます。

潰瘍性大腸炎もクローン病も、原因はハッキリわかってはいませんが、遺伝的要因や環境的要因に加え、免疫の異常が関与しているといわれています。

免疫とは、体内に細菌やウイルスなどが侵入した際に、それを異物と認識し、排除しようとする働きです。

潰瘍性大腸炎やクローン病では、この免疫に異常が生じ、自分の腸の粘膜を異物と認識して攻撃してしまう為に炎症が起こると考えられています。

これらの病気は、症状が現れる「活動期」と、症状が落ち着いている「寛解期」を長期にわたって繰り返します。

発症すると10年、20年と長く付き合うことになります。


※潰瘍性大腸炎とクローン病は、2010年9月現在「特定疾患治療研究事業」の対象になっており、「特定疾患医療受給者証」を申請して交付を受けると、治療にかかった費用の一部が助成されます。






2011年02月13日

進行がんや再発がんの治療

主に化学療法が行なわれます
放射線療法の併用もあります

◆化学療法

手術でがんが完全に切除できない場合や、がんが再発した場合には、「抗がん剤」による「化学療法」が行なわれます。

多くの場合、「フルオロウラシル」と「レボホリナートカルシウム」の2剤に、「オキサリプラチン」か「イリノテカン」を併用します。

主な副作用には、「下痢」や「吐き気」、「白血球や血小板の減少」、手足がしびれる「抹消神経障害」などがありますが、これらに対処しながら治療が行なわれます。

がんに関係する分子だけを狙って作用するのが「分子標的治療薬」です。大腸がんでは、現在は「ベバシズマブ」「セツキシマブ」「パニツムマブ」が承認されています。


◆放射線療法

化学療法のほかに、「放射線療法」が行なわれることもあります。この治療は、がんを小さくして肛門を温存する、手術後の再発を抑える、がんの「痛み」や「出血」を和らげるなどの目的で行なわれます。

このように、大腸がん治療の選択の幅は広がっていますが、早期発見、早期治療が最も大切です。症状のない人も、大腸がんの手術を受けた人も、定期的に大腸の検査を受けましょう!!






2011年02月11日

大腸がんの手術

結腸がんと直腸がんで方法が異なる

内視鏡によって切除できない大腸がんに対しては手術が行なわれます。「腹腔鏡手術」や、肛門を温存する手術など、患者さんの体にかかる負担が軽い方法が検討されます。


◆腹腔鏡手術

おなかに小さな孔を数ヶ所開け、「腹腔鏡」と手術器具を挿入して行なう手術です。

内視鏡治療が難しい早期の結腸がんが対象でしたが、最近ではある程度進行した結腸がんや直腸がんでも行なわれる場合があります。

傷跡が小さいため手術後の痛みは軽く、回復も早いため入院期間は短くなります。ただし、手術時間は開腹手術よりも長くかかります。

また、高度な設備や技術が必要である為、実施できる医療機関は限られています。


◆手術方法

大腸がんの場所によって、手術の方法が異なります。


☆結腸がん

がんの両側10cm程度の大腸とともに周囲のリンパ節と血管を切除します。大腸は1.5〜2mの長さがあるため、20cm程度切除しても患者さんの体への影響はほとんどありません。

☆直腸がん

直腸の周囲には「膀胱」「子宮」「卵巣」「前立腺」などの臓器や、排尿・排便機能や性機能を司る「自律神経」が多く集まっています。

手術の際にこれらの臓器や自律神経が傷つくと、「排尿障害」や「性機能障害」などの後遺症が起こることがあるため、結腸がんよりも注意が必要な手術です。

できるだけ肛門を温存し、手術後の患者さんの生活の質を保つ方法が選択されます。





2011年02月09日

大腸がんの内視鏡治療

開腹せずに行なうので、患者さんの体への負担が軽い

大腸がんの治療では、がんを切除するのが基本です。多くの場合、がんの直径が2cm程度までであれば内視鏡を用いてがんを切除します。

方法は、大腸ポリープを切除する場合と同様です。

内視鏡治療は開腹せずに行なう為、患者さんの体への負担が軽くて済みます。内視鏡治療のリスクとしては、まれに出血が起きたり、大腸の壁に孔が開くことがあげられます。これらが悪化すると、手術が行なわれることがあります。