2011年01月31日

大腸憩室症

憩室そのものは無症状。出血や炎症があれば治療する。

「憩室」とは、大腸の壁の弱い部分が押し出されてできた直径数mm程度のくぼみで、これが多数ある状態が大腸憩室症です。

憩室がある人は高齢者になるほど増え、70歳代では約半数の人に憩室があるといわれています。憩室の数も年齢と共に多くなります。

日本人では憩室は大腸の右側(上行結腸)に、欧米人では左側(S状結腸)に多い傾向があります。しかし近年は、日本でも左側に憩室ができる人が増えています。


◆症状

憩室があっても特に症状は現れませんが、憩室に出血が起こると、腹痛や下痢を伴わない血便がみられます。

また、憩室に炎症が起こると、下腹部に強い痛みが現れることがあります。


◆治療

入院して絶食し、点滴で栄養と水分をを補給して大腸を安静に保ちます。出血が続く場合には、内視鏡を用いて出血部分を「クリップ」で閉じます。

それでも止血できない場合には手術が行なわれます。また、炎症には「抗菌薬」で対処しますが、憩室に孔が開いて激しい炎症が起こった場合などは、手術の対象になります。





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2011年01月29日

虚血性腸炎

突然、激しい腹痛が起こるのが特徴

虚血性腸炎とは、大腸へ酸素や栄養を運ぶ血液の不足(虚血)によって、大腸の粘膜に「炎症」や「潰瘍」が生じる病気です。

「動脈硬化」がある人や、慢性の便秘がある高齢者などに多く見られます。


◆症状

・突然の激しい腹痛
 (多くは左側の下腹部痛)

冷や汗、吐き気、嘔吐などを伴った激しい腹痛が突然起こり、その後まもなく血の混じった下痢や血便がみられるというのが、虚血性腸炎の典型的な症状です。


◆治療

通常は入院して絶食し、点滴で水分と栄養を補給します。腹痛には、鎮痛薬などで対処します。

潰瘍が治る過程で、大腸に強い狭窄が起こった場合には、「内視鏡」を用いて狭窄部分を広げます。

まれに腸の組織が壊死を起こすことがありますが、その場合には緊急手術が行なわれます。




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2011年01月27日

大腸の病気

便秘や下痢、腹痛などの症状が現れないものもある

「便秘」「下痢」「腹痛」などの症状の多くは、一時的なものであれば特に問題はありません。しかし、症状がいつもより強い場合、「激しい腹痛」「血便」がある場合などには、「虚血性腸炎」など、大腸に何らかの病気が起こっている可能性があります。

その一方で、「大腸憩室症」や「大腸ポリープ」など、大腸の病気の中にはあまり症状が現れないものもあり、注意が必要です。



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2011年01月25日

変形性膝関節症 終わり

変形性膝関節症のまとめ

膝の痛みが続くようなら、一度整形外科を受診して、X線検査によりその原因を見てもらってください。素人判断や民間療法に頼りすぎないで、適切に専門家のアドバイスを受けましょう。

変形性膝関節症は長期にわたりゆっくりと変化する疾患です。焦らないで予防を十分に行い、痛みが生じれば整形外科で治療を受けてください。

お薬の治療でダメな場合は、手術により寝たきりを避けることができるので、心配しないでください。





2011年01月23日

変形性膝関節症 その6

歩けなくなるほどの痛みと変形が生じればどうすればいいでしょうか?

初期の痛みには、鎮痛剤や坐薬などによる除痛が図られます。しかし、長期に服用した場合に鎮痛剤は胃腸障害を生じたり、痛みを抑えることで、変形性変化を憎悪させてしまうことがあります。

残念ながら、鎮痛剤を飲み続けなければならないほどの疼痛が持続する場合は、現時点では手術療法で症状や機能の改善を図ったほうがいいでしょう。

また、進行の程度がより強い場合は、人工関節置換術が適応となります。人工関節置換術を受けることで、痛みと歩行困難が解消され、QOL(生活の質)は向上し、老後の生活を快適なものにしてくれます。





2011年01月21日

変形性膝関節症 その5

お薬以外に進行を予防する方法はありますか?

体重のコントロール、筋力トレーニング、リハビリテーション、電気療法やレーザーなどの理学療法は進行を遅らせ、痛みなどの症状を改善させます。装具療法も有効です。

特に歩くとき膝が外側に滑るような不安定性を生じる場合は、支柱付きのしっかりした装具を作成することにより、痛みや水の溜まりを抑えることができます。

軽症の段階では、足の底に外側がやや高くなる足底板(足挿板)が有効です。







2011年01月19日

変形性膝関節症 その4

サプリメントで予防や治療は可能でしょうか?

飲むヒアルロン酸やコンドロイチンなどが一般に販売されていますが、残念ながら、軟骨の変性や減少を改善する科学的証明はまだありません。

これらのサプリメントは、軟骨の原料となっているものですが、服用すると、胃の内部で強力な酸により分解されてしまいます。

一方、ヒアルロン酸は関節軟骨の材料ですので、軟骨に到達すれば予防効果や治療効果を発揮します。

そのため、病院などで使用されているヒアルロン酸は、直接関節の中にヒアルロン酸を注射することによりその効果を得ることができます。

変形性膝関節症の患者さんが整形外科を受診すると、関節内に注射してもらう薬剤はヒアルロン酸が多いようです。




☆ヒアルロン酸の関節内注射とは?

膝の関節内に、高分子ヒアルロン酸注射をすることによって、病気によって減少したヒアルロン酸を補う方法です。ヒアルロン酸には、下記のような働きがあります。

・炎症をしずめる
・痛みを抑える
・動きをなめらかにする






2011年01月17日

変形性膝関節症 その3

軟骨減少の予防はどうするのですか?

加齢に伴う軟骨の減少を予防することは困難ですが、それを助長する原因を防ぐ事は可能です。

関節症を悪化させるのは、体重増加です。体重を適度に保つことは重要なことです。ボディマス指数BMI(BMI=体重(kg)/身長(m)の2乗)を25以下に保つことが重要です。

大腿四頭筋の筋力を保持することも、関節へかかる負担を減少させます。片足ずつ膝を伸ばした状態で持ち上げる、または椅子に座って、曲げた状態から伸ばす。いずれも1〜2kgの重みを加えるとより効果的です。

運動のしすぎも関節軟骨を減少させますので、ジャンプや階段でのトレーニングは避けてください。既に痛みが生じている人は、プールなどで体重の負荷を取り除いて行なうスポーツがよいでしょう。





2011年01月15日

変形性膝関節症 その2

軟骨が少なくなる原因は何ですか?

軟骨が減少する理由として、原因がハッキリせず全身的な要因や遺伝的な背景によるもの(一次性変形性膝関節症)と、原因がハッキリしているもの(二次性変形性膝関節症)とがあります。


☆一次性
 ・O脚
 ・肥満
 ・運動不足
 ・運動過剰
 ・遺伝的背景

☆二次性
 ・外傷
 ・半月板損傷
 ・関節内骨折
 ・スポーツ外傷、靭帯損傷
 ・関節リウマチ


どのような原因であれ、一旦軟骨が変性して、変形性膝関節症変化をきたすと、一次性であれ、二次性であれ機械的ストレスや酵素化学的変化が加わり、加齢による退行性変化と共に軟骨は少なくなっていきます。

日本人の変形性膝関節症は、生活習慣より来る内反膝変形(O脚)や、肥満が原因の一次性変形性膝関節症がほとんどです。

二次性は一次性ほど多くありませんが、若い時のスポーツ外傷(半月板損傷)や関節リウマチに伴う関節症変化があります。







2011年01月13日

変形性膝関節症 その1

変形性膝関節症はなぜ膝が痛くなるの?

膝は大腿骨とけい骨をつなぐ、左右にある人体の中で最も大きい関節です。関節は軟骨が骨の上を覆っており、軟骨の間にはヒアルロン酸を含んだ関節液があります。

ヒアルロン酸は、歯車の間にあるグリースや機械油のように軟骨を守り、摩擦を少なくして、まるで氷の上をアイススケートで滑っているようにツルツルした状態を保っています。軟骨自体もコラーゲンとプロテオグリカンという水分をよく含む基質で構成され、軟骨のみずみずしさを保ち、動きをスムースにしています。

年と共に、軟骨の量は減少し、関節液のヒアルロン酸の含量も減少します。体重の増加や運動不足、激しい運動が軟骨の厚さに大きく影響を及ぼします。加齢や色々な原因で軟骨が少なくなることを変形性膝関節症といいます。
軟骨が少なくなると、骨に直接力が加わったり、骨と骨が直接擦れあったりすることで痛みが生じます。

また、軟骨の機能が減少することにより、膝は不安定となり、膝周辺の靭帯を緊張させ、靭帯の付着部の痛みをきたします。軟骨によるクッションが少なくなると、軟骨が擦りきれます。関節の間に挟まった半月板や変性した軟骨片が関節内に遊離して炎症を誘発し、痛みの原因となります。