2012年03月31日

コレステロールとは その2

◆中性脂肪にも要注意

血液中の脂質にはコレステロールのほかに、「中性脂肪」があります。

中性脂肪は体のエネルギー源になりますが、必要以上に増えると、LDLが通常よりも小さくなり、より血管壁に入り込みやすくなります。

小さくなったLDLは特に酸化しやすい為、血管壁内でコレステロールの塊(粥腫[じゅくしゅ])ができやすくなり、さらに動脈硬化が進行しやすくなります。

また、中性脂肪は、悪玉であるLDLには“味方”、善玉であるHDLには“敵”のような存在です。

中性脂肪が増えると、HDLの量が減り、血管壁にたまった余分なコレステロールが回収されにくくなります。このことも動脈硬化を進めます。







2012年03月29日

コレステロールとは その1

「コレステロール」と聞くと、“体によくないもの”というイメージを持つ人は多いでしょう。しかし、コレステロールは本来、細胞膜やホルモンなどの材料となる、体に必要不可欠な物質です。

コレステロールは脂質(あぶら)の一種で、食物から吸収されるほか、肝臓で合成されます。

肝臓で作られるコレステロールは、体内のコレステロールの約70〜80%を占めるとされ、食物から吸収されるものよりはるかに多いのです。

食物から吸収されたり、肝臓で合成されたコレステロールは血液によって全身の細胞に運ばれます。

ただ、脂質であるコレステロールは、そのままでは水が主成分である血液には溶け込めません。

そのため、コレステロールは、水になじむ粒子に含まれて、血液中を流れています。

この、コレステロールの“乗り物”となる粒子の代表が次の2つです。


◎LDL

コレステロールの“工場”である肝臓から、全身にコレステロールを運ぶという大切な役割を持っています。

しかし、LDLが血液中に増えすぎると、血管壁に入り込んでコレステロールが溜まり、動脈硬化が進んでしまいます。そのため、“悪玉”と呼ばれています。

LDLに含まれているコレステロールを、「LDLコレステロール」と呼びます。


◎HDL

全身の細胞で余ったり血管壁に溜まったりした、体内の余分なコレステロールを、肝臓に戻す働きをしています。そのため、“善玉”と呼ばれています。

HDLに含まれているコレステロールを「HDLコレステロール」と呼びます。






2012年03月27日

過敏性腸症候群 おわり

Q.食事での注意点は?

消化のよいものばかり食べていると、便になる材料が無い為、腸内を運ぶのも大変になってしまいます。

便秘型の人は、穀類なら玄米や雑穀を取り入れ、野菜や海藻、きのこなど、食物繊維が多いものを積極的にとってください。

しょうがも、体を温めると同時に胃腸の動きも促すので勧められます。

苦いものや辛いものは、体にとっては早く捨てたいので、腸の動きが普通より速くなります。その働きを利用する為に、香辛料を少し使うのもよいでしょう。







2012年03月25日

過敏性腸症候群 その19

Q.薬を飲んでいるときに注意することは?

短期間使う分には、薬の副作用や相互作用の問題はあまり出ませんが、一番気をつけなければならないのは、薬に頼りすぎになりやすいことでしょう。

長期間使い続ければ、安全性が高いポリカルボフィルカルシウムでも、ほかの物質の吸収に影響するかもしれません。

漫然と薬を使い続けるのは禁物です。

薬の助けで便通のリズムを保っている間に、それまでの生活を見直し、改善を図りましょう。






2012年03月23日

過敏性腸症候群 その18

Q.薬をやめるタイミングは?

過敏性腸症候群の薬はどれも患者さんの生活が本来のリズムを取り戻せればいらなくなるものです。

基本的には症状がよくなったらやめてよいと思いますが、症状が治まったのか、薬が効いているためなのか、患者さんの生活がよくなったためなのか、その見極めが必要なことはあります。

生活が変わっているなら薬をやめてよいでしょうが、まだ変わっていないなら、症状が一応治まっていても、もう少し薬を飲み続けてみることもあります。

また、大抵の人はストレスが強いときと弱いときの波があると思います。

ストレスが強いときにはまた症状が出ることもあるかもしれませんが、その時は薬を使えばよいと思います。

必要になったらまた使えると考えれば、必要がないときまで使い続けずに住むのではないでしょうか。







2012年03月21日

過敏性腸症候群 その17

Q.効果の出方によって薬の量を調整してもいいのでしょうか?

便秘の薬を飲んで下痢が起こったり、下痢の薬を飲んで便秘が起こったというときは効きすぎなのでそのまま飲み続けないでください。

薬の量を減らしたり、薬を替えたりする必要があるでしょう。

便秘や下痢の薬の場合、通常、量を減らすほうは、あらかじめ医師からアドバイスを受けたうえで自己判断で行なって問題ありません。

ただし、薬の効果が不十分だと思っても、自己判断で薬の量を増やすのは勧められません。医師に相談してからにしてください。







2012年03月19日

過敏性腸症候群 その16

Q.薬の効果はどのくらいで現れますか?

便秘の時に使う刺激性下剤のピコスルファートナトリウムや下痢型に使うラモセトロンなど、速やかに効果が現れる薬もありますが、基本的には生活のリズムを取り戻すことが治療の主眼なので、すぐに薬が効くものではないと思ってください。

薬の効果の判断は、2週間分の薬を処方し、2週間後の再診時に様子を聞いて、その薬でよければ、次は1ヵ月後に再診というふうにしています。

大抵の場合、長年の生活習慣から出てきた病気なので、治るまでにはある程度の時間が掛かりますが、薬がいらなくなれば通院する必要はありません。








2012年03月17日

過敏性腸症候群 その15

◆下痢型の過敏性腸症候群の薬の使い方

下痢を止めるような薬は、基本的に症状があるときだけ使えばよいと思います。ポリカルボフィルカルシウムは使い続けてもあまり他に影響しないので、心配なうちは飲み続けてもよいでしょう。

ただ、、急にひどい下痢が起こることもあるかもしれないので、“お守り”のつもりで腸の動きを抑える消化管運動調整薬などを携帯することを勧めています。

受診するまでの間に使うように、ロペラミドなどの下痢の薬を処方しておくこともあります。

ストレスが強くて度々下痢が起こるようなときは、1週間だけラモセトロンを毎日飲むなどという使い方もあります。


混合型の場合は、便通の状態により、便秘型、下痢型の治療を組み合わせて行ないます。







2012年03月15日

過敏性腸症候群 その14

◆便秘型の過敏性腸症候群の薬の使い方

基本となる薬はポリカルボフィルカルシウムですが、便秘型の患者さんは大抵、初診時には便通がなくて苦しい状態なので、まずは便を軟らかくする酸化マグネシウムや刺激性下剤のピコスルファートナトリウムなどを使って、きちんと排便のある状態を目指します。

お通じがあるようになったら、ピコスルファートナトリウムを徐々に減らして酸化マグネシウムだけにします。

ある程度落ち着いたら、ポリカルボフィルカルシウムだけに切り替えます。


薬の飲み方は、基本的には1日3回分を処方しますが、全ての患者さんが、処方した薬を全部飲む必要があるとは思っていません。

最初は1日3回から始めても、効果が出てきたら昼を省いて朝晩2回にし、それでも大丈夫なら朝だけ、あるいは夜だけにするなど、症状に応じて減らしてよいと伝えています。

それで、次の受診時までにどれだけ薬が必要だったかをみて、次の薬の処方を検討します。

規則的にお通じがあるようになれば、ピコスルファートナトリウムはお通じがない時だけ飲む頓薬とします。






2012年03月13日

過敏性腸症候群 その13

Q.過敏性腸症候群を治すには抗不安薬や抗うつ薬が必要?

緊張した時に下痢や便秘が起こるのは、程度の差はあれ、大抵の人に経験があることではないでしょうか。

抗不安薬や抗うつ薬を使うと効果がある人がいるのは確かですが、これも神経の興奮を薬が遮断しているだけで、病気を根本的に治すものではありません。

経験的にはこういう薬を使わなくても良くなる人が多いので、過敏性腸症候群だからこれらの薬が必要だとは思っていません。

また、特別な方法をとらなくても、信頼を置いている医師と話すことも、ひとつの心理療法になると思います。