2012年01月31日

正しく知ろう放射線とがん その1

放射線とがん その1

2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故後には、放射線の影響について、テレビや雑誌などで取り上げられることが多くなりました。

放射線とがんの関係については、よくわかっていないことも多くありますが、被爆すると、細胞の遺伝子が傷つき、がんのリスクが高まると考えられています。

広島・長崎の原爆被爆者10万人を40年以上にわたって追跡調査したデータによると、被爆から数年経つと白血病による死亡者数が増加します。

その後、時間が経つにつれて白血病による死亡者数は減少しますが、被爆から10年ぐらい経つと、白血病以外のがん(固形がん)による死亡者数が増加しています。





2012年01月29日

がん予防最前線 おわり

生活習慣とがん おわり

◆食品

日本の研究・報告では、塩・塩蔵品が胃がんのリスクを上げることは“ほぼ確実”と評価されています。

塩分の1日の摂取量は、男性9g、女性7.5g未満が目標ですが、国際的には5g未満が推奨されています。

野菜・果物は、食道がんのリスクを下げるのは“ほぼ確実”で、胃、肺がんのリスクを下げる“可能性がある”と評価されています。摂取量としては、合わせて1日400gを目安に、野菜は毎食、果物は1日1回とりましょう。

ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉は、大腸がんのリスクを上げる“可能性がある”と評価されています。

日本人より摂取量が多い欧米では、加工肉や、牛、豚、羊などの「赤肉」が大腸がんのリスクを上げるのは“確実”とされ、赤肉の摂取量は1週間に500gを超えないように推奨されています。

また、緑茶は、女性の胃がんのリスクを下げることが“ほぼ確実”、コーヒーは肝がんのリスクを下げることが“ほぼ確実”、大腸がんのリスクを下げる“可能性がある”と評価されています。

ただし、コーヒーは、膀胱がんのリスクを上げる“可能性がある”との評価もあるので、飲みすぎないほうがよいでしょう。

熱い飲食物は食道がんのリスクを上げることが“ほぼ確実”という評価がありますので、ある程度冷ましてからとるようにしましょう。

今回紹介した生活習慣の改善は、がんのリスクを下げるだけでなく、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中など、ほかの生活習慣病の予防にも有効です。






2012年01月27日

がん予防最前線 その9

生活習慣とがん その4

◆感染症

日本の研究・報告では、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃がんのリスクを上げることは“確実”、B型およびC型肝炎ウイルスが肝がんのリスクを上げることは“確実”と評価されています。

ヘリコバクター・ピロリは、胃の粘膜下に住み着く細菌で、持続感染すると炎症を起こし、胃がんのリスクを上げると考えられています。

抗菌薬による除菌は、早期の胃がん患者の再発予防に有効です。

感染している場合は、除菌するのも一つの方法ですが、健康な人が除菌した場合のことはまだよくわかっていません。

感染の有無にかかわらず、禁煙、食生活の注意、毎年胃がん検診を受けることなどが勧められます。


B型およびC型肝炎ウイルスの感染者は、感染していない人に比べて、肝がんのリスクが高くなります。

日本では、肝がんの患者さんの約9割がいずれかのウイルスに感染しています。今はウイルスを排除したり炎症を抑える治療によって、肝がんのリスクを下げることができます。


ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因になるため、検診を受けましょう。若いうちにワクチンを接種することが勧められますが、全てのタイプのヒトパピローマウイルスに有効なわけではないので、接種後も子宮頸がん検診を受けることが必要です。






2012年01月25日

がん予防最前線 その8

生活習慣とがん その3

◆運動

日本の研究・報告では、運動が大腸がんのリスクを下げることが“ほぼ確実”と評価されています。

また、国際的な調査では、大腸がんのリスクを下げることは“確実”、閉経後の乳がん、子宮体がんのリスクを下げることは“ほぼ確実”とされています。

運動量の目安としては、ほとんど座って仕事をしている人は、ほぼ毎日合計60分程度のウォーキングに、週1回程度60分程度の早歩きか30分程度のランニングを加えます。

仕事で体を動かしている人は、特に運動する必要はありません。






2012年01月23日

がん予防最前線 その7

生活習慣とがん その2

◆飲酒

過度の飲酒は、多くのがんのリスクを高めます。日本の研究・報告では、飲酒は、がん全体のリスクを上げるほか、肝がん、大腸がん、食道がんのリスクを“確実に”上げると評価されています。

最近は日本人を対象にした複数の研究で、飲酒が乳がんのリスクを高めるという報告も出ています。

国際的な調査では、飲酒はこのほかにも口腔、咽頭、喉頭などのがんのリスクを“確実に”上げるとされています。

1日に飲む量は日本酒なら1合(アルコール量23g)程度にとどめましょう。






2012年01月21日

がん予防最前線 その6

生活習慣とがん その1

◆喫煙

タバコの煙に含まれる60種類以上の発がん物質が血流を介して全身に運ばれる為、喫煙は多くのがんのリスクを高めます。

日本の研究・報告では、喫煙は、がん全体のリスクを上げるほか、肺がん、胃がん、食道がん、すい臓がん、子宮頸がんでは“確実に”、肝がんでは“ほぼ確実に”リスクを上げます。大腸がん、乳がんでもリスクを上げる“可能性がある”と評価されており、多くのがんとの関連が示されました。

国際的な調査では、ほかに口腔、咽頭、喉頭、尿路などのがんや骨髄性白血病のリスクも“確実に”上げるとされています。

禁煙は、がんのリスクを下げる為には非常に重要です。





2012年01月19日

がん予防最前線 その5

リスクを高める要因 おわり

◆飲酒

アルコールに関しては、1週間に摂取するアルコール量によって、がんになるリスクは異なり、過度の飲酒がリスクを高めることがわかっています。

アルコール飲料の種類や銘柄によってアルコール濃度が異なり、同じ量を飲んでも摂取するアルコール量が違ってきます。

日本酒1合のアルコール量はおよそ23gで、これはビールなら大瓶1本、焼酎ならコップ2/3(120ml)、ワインなら200mlに相当します。

飲酒についてのデータでは、「時々(月に1〜3回)飲む」人を基準にすると、1週間のアルコール量が300gを超えるとリスクが高まり、450g以上の人ではリスクが1.6倍になります。

がん予防するには、飲酒は適量にとどめることが大切です。1日当たりのアルコール量はおよそ23gまでにし、1回の飲酒量をこれより多くしたい場合は、飲酒する日数を減らして1週間あたりのアルコール摂取量を調整してください。






2012年01月17日

がん予防最前線 その4

リスクを高める要因 その3

◆喫煙

たばこの煙には多くの発がん物質が含まれています。喫煙によって、がんになるリスクが確実に高まることが、多くの研究で明らかになっています。

喫煙についてのデータでは、たばこを吸う人のがんになるリスクは、吸わない人の約1.6倍です。禁煙した人のリスクは約1.4倍ですが、20年以上禁煙を続けると、吸わない人と同程度になるとされます。

喫煙している人にとっては、禁煙が最大のがん予防といえます。自分で禁煙するのが困難な場合、禁煙外来を受診して相談することが勧められます。「ニコチン依存症」の禁煙治療には健康保険が適用されます。






2012年01月15日

がん予防最前線 その3

リスクを高める要因 その2

◆体格

「太りすぎ」や「痩せすぎ」は、がんになるリスクを高めることがわかっています。

肥満度を表す指標として世界的に使われているものに「BMI(体格指数)」があります。BMIは、身長と体重から計算します。

・BMIの計算式
BMI=体重(kg)/身長(m)/身長(m)


BMIとがんのリスクの関係を調べたデータでは、最も多かった「BMI23〜24.9」のグループのがんになるリスクを基準にすると、BMI30以上と21未満でリスクが高まっていました。その間の、BMI21以上30未満では大きな差はありませんでした。

日本人を対象とした複数の調査から、中高年の人ががんになるリスクを下げるには、BMIを男性は21〜27、女性は19〜25に保つように勧められています。






2012年01月13日

がん予防最前線 その2

リスクを高める要因 その1

◆年齢・性別

がんは、長い年月をかけて起こってくる病気で、一般に40歳までにがんになるリスクは高くありません。

その後は、年齢が上がれば上がるほど、リスクは高まります。また、生涯でがんになるのは2人に1人と推計されています。

60歳ぐらいまでは、男性よりも女性の方ががんになるリスクが高いのですが、これは、女性特有のがんである「乳がん」「子宮がん」が30歳代〜50歳代で起こりやすいためです。