2011年04月29日

女性の不妊治療 その1

原因に対する治療を受け、自然妊娠を試みる

「不妊症」の患者さんの中には、明らかな原因が無かったり、薬物療法などの比較的軽い治療によって原因を取り除くことができる人も少なくありません。

そのため、排卵期に性交の機会をもつ「タイミング療法」で自然妊娠を目指すのが治療の基本です。

不妊症の原因が明らかな場合は、タイミング療法と並行して、次のような原因に対する治療が行なわれます。


◆排卵の問題への治療

原則として、「排卵誘発薬」が使われます。作用の比較的弱い経口薬から始め、効果が十分でなければ、作用の強い注射薬に変更します。

1回の月経周期あたり、原則、経口薬は5日間、注射は1週間程度毎日行なわれます。ただし、注射薬では卵巣が腫れて腹痛が現れたり、胸腔や腹腔に水が溜まる「卵巣過剰刺激症候群」が起こることがあります。

また、「多胎妊娠」の可能性が約20%あるとされます。


◆卵管の問題への治療

卵管が狭かったり、詰まっている場合は、子宮の入り口や、子宮の内腔から卵管の入り口に向けて細い管を入れ、そこから生理食塩水を注入し、卵管内を押し広げる治療が行なわれます。

卵管に癒着がある場合は、下腹部に小さな孔を空けて「腹腔鏡」という小型カメラを挿入し、癒着した部位を確認しながら、細い「鉗子(かんし)」などの器具を使って剥がします。


◆着床の問題への治療

受精卵が着床するときに必要な黄体ホルモンを補充する、「ホルモン療法」が行なわれます。また、「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」などが着床の障害になっている場合は、薬物療法や手術が行なわれることもあります。


◆頸管の問題への治療

頸管の粘液の分泌量が少ない場合や、「抗精子抗体」をもっている場合は、原因への治療は難しくなります。そのため、「人工授精」「体外受精」「顕微受精」が検討されます。




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2011年04月27日

女性に行なわれる不妊症検査

ホルモンの量や卵管の状態などを調べる

まずは「問診」と、子宮や卵巣の状態を調べる「内診」が行なわれます。さらに、基礎体温を基に月経周期を把握し、それに合わせた検査が行なわれます。


◆月経周期ごとに行なわれる検査

◎月経
月経開始から3〜5日ごろに採血して、脳の下垂体や、卵巣などから分泌されるホルモンの値を調べる「ホルモン検査」が行なわれます。

◎卵胞期
卵胞が成熟する期間に、子宮に造影剤を注入してエックス線撮影をする「子宮卵管造影検査」が行なわれます。子宮の形や卵管の狭窄や閉塞、癒着の有無などを調べることができます。

◎排卵期
超音波で卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを調べる「超音波検査」や、頸管の粘液を採って性質などを調べる「頸管粘液検査」が行なわれます。

◎黄体期
子宮内膜が厚くなり、妊娠の準備が進む時期です。高温期の中間辺りに採血をして、黄体ホルモンの分泌量を調べる「黄体ホルモン検査」が行なわれます。まれに、子宮内膜の組織の一部を採取して調べる「子宮内膜組織診」が行なわれることもあります。


◆2人でよく話し合って受信する

不妊症の原因が、女性と男性のどちらにあったとしても、検査や治療の負担は女性のほうが大きくなります。特に女性が働いている場合は、仕事との両立で肉体的にも精神的にも大きな負担がかかるといえます。

また、カップルの間で、治療に対する考え方に温度差がある場合も多い為、事前に2人でよく話し合ってから受診して欲しいと思います。




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2011年04月25日

“不妊症かな”と思ったら

まずは基礎体温を測って排卵の有無を調べる

不妊症が疑われる場合は、早めに受診することが大切です。しかし、すぐに受診できない場合は、まず「基礎体温」を記録してみましょう。基礎体温の測定は、受診して検査を受ける際にも役立ちます。

健康な女性の基礎体温は、月経が始まると低くなり、排卵が終わるころから次の月経が始まるころまでは高くなります。

このような、「低温期」と「高温期」の二相性の変動があれば、排卵はあると考えられます。しかし、高温期が無く低温期が続くような場合は、排卵が起きていない可能性があります。

また、通常、高温期は12〜16日間程度ですが、9日間以下の場合も排卵や黄体ホルモンの分泌に問題があると考えられます。このような基礎体温の変化がある場合、早めに受診して検査を受けることが大切です。





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2011年04月23日

不妊症の原因

排卵、受精、着床の流れに何らかの不妊の原因が生じる

妊娠は、「排卵」「受精」「着床」という流れを経て成立します。この流れのどこかに問題があると、妊娠が成立せず、「不妊」となります。

不妊症の原因が、女性にある場合と男性にある場合の割合はほぼ同じで、両者に原因がある場合もあります。


◆女性に原因がある場合

主に次の4つが考えられます。

◎排卵に問題がある
卵子を包む「卵胞」が十分に発育していなかったり、排卵を調整するホルモンの異常などがあるために、排卵が起こりにくくなることがあります。

◎卵管に問題がある
「クラミジア感染症」や「虫垂炎」などによる炎症があったり、「子宮内膜症」があると、卵管が狭くなったり、詰まったり、癒着が起こったりして、排出された卵子の卵管への取り込みや受精が妨げられます。

◎着床に問題がある
着床の時期には、卵巣から多量の「黄体ホルモン」が分泌されますが、この分泌量が十分でないと子宮内膜が十分な厚さにならずうまく着床できなくなります。また、「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」などで子宮の内腔が変形していることなどが着床に影響を及ぼすこともあります。

◎頸管に問題がある
子宮の入り口にあたる「頸管」の粘液の量が少ないと、精子は子宮の内部にうまく入れなくなります。また、精子の運動を抑制する「抗精子抗体」をもっている場合も、妊娠が難しくなります。


◆男性に原因がある場合

精巣で精子をつくる機能に問題があることが、男性の不妊症の約90%を占めています。

詳しくは、『男性と不妊症』で・・・





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2011年04月21日

不妊症とは

結婚や出産をする年齢の上昇によって増えてきている

日本では、子供を望んでおり、性生活が2年以上あるにもかかわらず妊娠しない場合を「不妊症」といいます。

従来は、子供を望むカップルの約10組に1組が不妊症とされてきましたが、最近では7組に1組の割合に増えているとされています。不妊症のカップルが増えている理由の1つに、ライフスタイルの変化によって、女性の結婚や出産の年齢が上がっていることがあります。

女性の年齢が上がると妊娠が難しくなる原因には、年齢とともに卵子の数が減ってくることや、卵子に質的な変化が生じること、ホルモンの調節機能が低下することがあげられます。

また、年齢に伴って「子宮筋腫」「子宮頸がん」「卵巣腫瘍」などが発症しやすくなることも、妊娠、出産しにくい環境をつくるとされます。


◆“2年以上”を待たずに受診

最近は、「体外受精」などによって妊娠を望める場合が増えてきましたが、それでも女性が35歳を過ぎると、妊娠や出産ができる確率は急激に下がります。

また、流産や早産のリスクが高まったり、「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」を発症する確率も高くなり、母子の命にかかわることもあります。“不妊症かな”と思った場合は、“2年以上”を待たずに早めに産婦人科を受診しましょう。




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2011年04月19日

更年期を乗り切る為に

1人で悩まずに更年期外来を受診しよう

日本女性の平均寿命はおよそ86歳なので、閉経後もまだ30年以上の人生があります。人生の分岐点である更年期をうまく乗り切れば、それより後の人生も大きく変わってきます。

かつてはあいまいにしか理解されていなかった更年期障害について、近年、実態が少しずつ把握されるようになってきています。それに伴って、治療の効果も明らかになってきています。

更年期障害の症状に困っているなら、1人で悩まずに、ぜひ更年期外来などを受診し、つらい症状に上手に対処していきましょう。





2011年04月17日

更年期の体の症状に対する漢方薬

三大漢方婦人薬のほか十全大補湯なども使われる

◆三大漢方婦人薬が用いられる

体の症状に使われるのは主に、「三大漢方婦人薬」です。体の症状に対しては、それぞれ次のような効果があります。


◎当帰芍薬散
・効果が出やすい症状:動悸、興奮、憂うつ

◎加味逍遙散
・効果が出やすい症状:神経質、イライラ、不安感

◎桂枝茯苓丸
・効果が出やすい症状:睡眠障害、無気力、めまい

詳しくは、「更年期障害に使われる三大漢方婦人薬」を参照してください。


◆十全大補湯が使われることもある

漢方には患者さんを、がっちりとした体型で赤ら顔のタイプ、やせ型で顔が青白いタイプ、その2つの中間のタイプの3つに分けて診断し、処方を考慮する考え方があります。

更年期外来を訪れる患者さんでは、がっちりとした体型で赤ら顔のタイプの人は少なく、やせ型で顔が青白いタイプや中間のタイプの人が多いようです。

やせ型で顔が青白いタイプの人には、漢方の考え方に基づいて、体力不足と判断し、基礎体力を強化するために使われる「補剤」と呼ばれるタイプの漢方薬を処方することがあります。

代表的な補剤が、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」です。

この薬は、10種類の生薬を合わせたもので、“うつろになったものを十分に補う”という意味でこの名前が付いているといわれます。

もともとは、病気の後の気力低下や全身の倦怠感を改善する目的でよく用いられていました。この十全大補湯は、更年期の個別の症状にも効果があることが分かっています。






2011年04月15日

更年期の体の症状への治療

ホルモン補充療法は更年期以降の疾患も予防

更年期障害の体の症状には「ホルモン補充療法」や「漢方薬」による治療が行なわれます。

体の症状は、主にエストロゲンの分泌量の減少によって起こるので、エストロゲンを補うホルモン補充療法は効果的な治療です。使われる薬は、飲み薬だけでなく、最近では患者さんが使いやすいように、貼り薬や塗り薬もあります。

ホルモン補充療法は、基本的に何年続けてもかまいません。継続してホルモン補充療法を行なうことで、更年期障害だけでなく、更年期以降にエストロゲンの分泌量の減少が原因となって起こりうる、様々な病気の発症を防ぐことにもつながります。

ただ、5年以上ホルモン補充療法を続けた場合、乳がんを発症するリスクが多少上がる可能性があります。しかし、定期的に検査を受けていれば、それほど心配することはありません。

ただし、乳がんの治療後などは、ホルモン補充療法は行なえません。このような場合は、漢方薬などによる治療が勧められます。

体の症状に対しては、ホルモン補充療法と漢方薬による治療を比べると、総合的には、ホルモン補充療法のほうが、やや効果が高いようです。しかし、漢方薬による治療にも、ホルモン補充療法に負けないほどの効果があります。

また、ホルモン補充療法と漢方薬による治療は、それぞれ有効な症状が少し異なる為、併用によって、総合的に複数の症状を緩和することもできます。


◎ホルモン補充療法で有効性の高い症状
 ・発汗、ほてり
 ・疲れやすさ
 ・肩こり      などに効果が高い

◎漢方薬での有効性の高い症状
 ・動悸
 ・背中の痛み
 ・めまい      などに効果が高い







2011年04月13日

更年期の体の症状を引き起こす要因

エストロゲンの分泌量の減少が影響。更年期以降も疾患を起こす

更年期には、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が急激に減少し、それが影響して体の症状が起こります。

エストロゲンの分泌量の減少は、更年期障害の原因になるだけでなく、更年期以降も、体に様々な影響を与えます。

例えば、「動脈硬化」などの原因となる脂質の異常や、骨量の低下とそれに伴う「骨粗しょう症」などが、更年期以降に起こってきます。これらの異常には、早い時期から症状として現れるものもあれば、少し遅い時期に現れるものもあります。

エストロゲンの分泌量の減少に加えて、更年期に起こる心の症状が影響して、体の症状が起こることもあります。






2011年04月11日

更年期の体の症状

顔のほてりや手足の冷え、動悸などの症状が現れる

更年期障害の体の症状としてよく見られるのが、「顔のほてり」「発汗」です。気温が高い場合にも、ほてったり汗をかいたりしますが、更年期障害の場合に現れるこれらの症状の特徴は、体全体に起こるのではなく、顔や上半身だけが急に熱くなる事です。

また、逆に「腰や手足の冷え」を感じる場合もよくあります。

そのほか、「動悸」「息切れ」「肩こり」「頭痛」「腰痛」「節々の痛み」など、様々な症状が現れます。


◆ほかの病気の可能性もある

40〜50歳代の女性にこれらの症状が現れると、更年期障害だと思いがちですが、実はほかの病気が症状の原因となっている可能性も否定できません。

例えば、顔のほてりや発汗などは、甲状腺の病気でも起こります。動悸や息切れは、心臓の疾患が原因で起こっている可能性もあります。また、心の症状にしても、気分の落ち込みは「うつ病」によるものかもしれません。

更年期は、「生活習慣病」や「がん」など、様々な病気が起こりやすくなる年代でもあります。したがって、診断の際は、まずほかの病気によるものではないかどうか、鑑別診断が行なわれます。

ほかの病気を見逃さないためにも、症状があれば、まずは受診しましょう。