2011年03月13日

肺炎の入院治療

酸素欠乏や脱水症状が起きたら入院治療を行なう

◆入院が必要な場合

重症の肺炎では、呼吸困難が起こって肺への酸素の取り込みが悪くなり、全身に「酸素欠乏症」の症状が出てきます。

さらに、肺の炎症が強くなると、食欲が低下したり、水分摂取量が減って脱水が強くなりがちです。すると、「意識障害」や「血圧低下」が起こることがあります。

このような症状がある場合は、入院治療が勧められます。これらは高齢者に起こりやすいので、周囲の人は特に注意して見守る必要があります。

入院治療では、抗菌薬を点滴で投与する肺炎治療だけでなく、酸素不足に対して酸素吸入を行なうなどの呼吸の管理や、栄養や水分補給を含めた全身状態の管理が行なわれます。


◆退院の目安

退院の目安は、「発熱がきちんと治まる」「高齢者は食欲がきちんと回復する」「CRP(炎症反応物質)が正常値に戻る」などです。入院して、治療をきちんと受け、これらの条件を満たす状態になれば、肺炎は完治したといえます。

入院期間は、通常10日〜2週間ですが、若い人や持病のない人の場合は、これらの条件を満たさなくても、早めに退院できることもあります。

逆に、持病が多い人などでは、通常より時間がかかる場合もあります。


◆治りにくい場合

治療を受けても肺炎が治りにくい場合があります。その理由として次のようなことが考えられます。

・体力、免疫の働きが低下している
糖尿病やがんといった病気がある人や、肺や心臓、腎臓、肝臓などに病気がある人、高齢者、または栄養状態がよくない人などは、治りにくいことがあります。

・抗菌薬が病原体に合っていない
病原体を推定して選んだ抗菌薬が有効でなかった、ということもあります。3日ほど治療しても症状が改善されない場合には、病原体を確定する検査(*)を行い、治療薬を選定し直します。

*:痰に含まれる細菌や微生物を培養して増やし、その種類や薬の効き目を調べます。


◆耐性菌

抗菌薬が効かず治りにくい場合、原因が「耐性菌」であるケースもあります。耐性菌とは、これまでの抗菌薬に耐性ができて、抗菌薬が効きにくくなった原因菌のことです。

耐性菌の割合が最も高いのは「肺炎球菌」です。成人の患者さんの場合、肺炎球菌の耐性率は2〜3割、「インフルエンザ菌」の耐性率は約2割といわれています。そのほかにも薬剤耐性をもつ細菌は増えてきており、院内感染の原因として憂慮されています。

耐性菌は「つくらない」ことが重要です。そのためには、「早い段階から効果の強い薬で治療する」「必要十分な量を、決められた期間投与する」ことが遵守されなければなりません。

耐性菌に対する治療は、5系統の抗菌薬以外の薬も検討して、きちんと効く薬を選び出して使っていきます。少し入院期間が長くなりますが、根気よく治療を続ける必要があります。

なお、肺炎が疑われる症状があったら、まずかかりつけ医を受診し、必要な場合は、かかりつけ医から専門医を紹介してもらうようにしましょう。





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