2011年06月01日

EPA製剤とはどんな薬? その3

臨床試験でわかった、脂質異常症の合併症を予防する効果とは? 2回目

Q:
EPA製剤はどんな場合に有効なのでしょうか?また、どのような人に適する薬なのでしょうか?

A:
JELISの結果からは、総コレステロール値が高いことに加えて、『中性脂肪値が高くHDLコレステロール値が低い』『糖代謝異常を併せ持つ』など、冠動脈疾患や脳卒中の発症リスクが高い人や、すでにこれらの疾患を起こしたことのある人の再発予防に、特に有効なことがわかっています。こういう人にはEPA製剤が特に勧められると思います。


この臨床試験に参加した患者さんは皆スタチンを使用していますが、EPA製剤の併用により、スタチンだけでは防ぎきれない合併症を抑えられたということです。

脂質異常症を治療する目的は、コレステロールなどの脂質の値を改善することではなく、脂質異常症によって起こる合併症を防ぐことにあります。EPA製剤をのんで脂質の値はそれほど改善しなくても、合併症を抑えられれば治療の目的を果たせることになるわけです。


こうした効果の背景には、炎症を抑える作用や、血栓形成を抑える作用など、粥状(じゅくじょう)動脈硬化巣(プラーク)を安定化させるEPA製剤の多面的な作用が考えられています。

また、血液中のEPA濃度が高いほうが冠動脈疾患の発症を抑えられることも明らかになり、不飽和脂肪酸中のEPAのの比率を示す『EPA/アラキドン酸比』の値が有用な指標ともいわれています。

JELISではこの値が1.3〜1.4くらいになると予防効果が高くなっていましたが、一般に日本人では0.4〜0.6ほどといわれています。EPA/アラキドン酸比は血液検査で測れるので、この値が低い人などもEPA製剤の使用を検討するとよいと思います。