2012年05月03日

暑さと不眠 その1

暑い夏の夜、多くの人が、“寝苦しくてよく眠れなかった”という経験をしていることでしょう。一口に“よく眠れない”といっても、睡眠中に目が覚めてしまったり、朝早く起きてしまうなど、いろいろなタイプがあります。夏の暑さによる不眠で多いのは、寝つきの悪さです。

それではなぜ、暑いと寝つきが悪くなるのでしょう。これには、「恒温動物」に備わった、睡眠に関わる仕組みが関係しています。


◆深部体温が下がると眠くなる

爬虫類や両生類などは、気温と連動して体温が変わる「変温動物」です。気温が下がると、体温も低下する為、自然に活動できなくなります。

これに対し、哺乳類である私たち人間は、体温が一定である恒温動物です。気温が下がっても体温を維持できるので、寒い冬でも十分に活動できます。

その代わり、脳と体を休息させなくてはならない時間帯、つまり夜の睡眠時間になると、体内の熱を放散させて、自ら体温を下げる必要があります。

私たちの体は、体内の「体内時計」の働きによって、夜がくると、眠る準備を始めます。まず、手足の表面から熱を逃がして、体の内部の体温を下げて生きます。このときに手足が暖かく感じます。

そして、眠りにつくと、深い睡眠になるにしたがって寝汗をかいて、さらに体内の熱を逃がします。

私たちが普段体温計などで測る体温は、体の表面の温度ですが、これとは別の、体内の体温を「深部体温」といいます。

活動時の深部体温は通常37.5℃くらいあり、これが36.9℃以下に下がると、眠くなります。深部体温の低下と並行して、脈拍数や血圧も下がることで、深い眠りに入り、脳と体が休まるのです。